障害者手帳とは
「障害者手帳」とは、障害のある人が取得することができ、いろいろな援護制度を受けるために証明として都道府県知事や政令指定都市の自治体が発行する手帳の総称になります。
障害者手帳には、「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3種類があります。
今回は、身体障害者手帳について書いていこうと思います。
メリット
- 障害がある方向けの雇用枠への就職・求人応募が可能になります。
- 所得税・住民税・自動車税などの軽減が受けられます 。
- 医療費の割引・助成制度が受けらます。
- 住宅改造・福祉用具の助成制度が受けられます。
- 公共料金( 鉄道やバス )、 タクシー・飛行機・高速道路の料金の割引サービスが受けられます。
- NHK放送受信料・携帯電話会社の料金割引サービス・美術館・博物館・動物園の入場料割引などが受けられます
デメリット
- 手帳の発行時に必要な医師の診断書を発行する診断料が必要
- 障害者手帳の発行時に必要な医師の診断書を発行する診断料が必要
- 障害によっては再認定が必要
対象疾患
以下の機能の障害が対象となります。
- 視覚
- 聴覚・平衡機能
- 音声・言語・そしゃく機能
- 肢体(上肢、下肢、体幹)不自由
- 心臓・じん臓・呼吸器機能
- ぼうこう又は直腸の機能
- 小腸機能
- 免疫(ヒト免疫不全)機能
- 肝臓 機能
障害者手帳申請
身体障害者手帳の取得条件は「疾病によって障害が永続し、生活動作が不自由であること」が証明できていることです。
指定医による診断書を取得し、各都道府県へ申請し受理されれば手帳を持つことができます。
申請から約2か月で発行されることが多いようです
第15条指定医師
まず、障害者手帳ですが、身体障碍者手帳申請にかかる診断書をかくことができるのは、身体障碍者福祉法第15条指定医師に限られます。
ですので、主治医が、15条指定医師の指定を受けられているかの確認が必要になります。
指定を受けることは、さほど大変なことではないのですが、脳外科の医師の中には、書類書きをする時間がないとのことで、指定を受けない医師もいました。
その場合、15条指定医師がいる病院を紹介することになります。
この診断書の計測は、理学療法士が行うことが多いです。
そして、計測結果を診断書に記載するのですが、これが、医師によって、全然、対応が異なります。
A医師「君たちの計測結果は信用できないから、全部、鉛筆書きで出して」
B医師「関節可動域、筋力、日常生活の様子はボールペンで書いて、残りはこっちで書くよ。」
C医師「全部任せる。よろしく。」等々。
部下がやらかして、怒られたり、謝りに行ったりしたこともたくさんあります。
今となっては、いい思い出です。
話がそれました。
なので、理学療法士が計測を行い、診断書に清書して、医師が確認し、サインをする。
この一連の流れが、スムーズなところは、すぐ診断書ができます。
理学療法士が忙しくて、清書を後回しにしたり、医師が仕事が煩雑で、診断書のチェックまで追いつかないような多忙な病院では、遅れがちです。
申請時の身体計測
障害者手帳も障害年金も身体計測が必要になります。
関節可動域、筋力、感覚障害の有無、日常生活の自立度など。
医療機関で働いていたころ、総合病院のころは、計測日が曜日と時間で決められていました。個人病院にいたときは、随時、対応していました。
これらの書類書きは、忙しい医師だと後回しにする仕事ベスト3に入るかもしれません。
すごく、待たされる方もいらっしゃいました。
申請時期
申請時期ですが、障害者手帳の場合、申請時に症状が固定していると、行政が判断できる時期でないと、申請が通らない場合があります。
では、症状固定の目安とは、
愛媛県の場合(愛媛県が一番わかりやすかったので)
身体障害認定における障害固定の時期の目安 | ||
障害種別 | 障害区分 | 認定時期 |
視覚障害 | 全般 | 3か月後(手術施行の場合は術後6か月) |
聴覚障害 | 全般 | 聴力安定後3か月 |
音声機能・言語機能の障害 | 喉頭摘出 | 手術後 |
その他音声言語機能 |
機能の喪失の場合 3か月後 著しい障害の場合 6か月後 | |
平衡機能障害 | 全般 | 6か月後 |
そしゃく機能障害 | 歯科矯正治療 | 歯科矯正開始前 |
その他のそしゃく機能障害 |
機能の喪失の場合 3か月後 著しい障害の場合 6か月後 | |
肢体不自由 | 切断 | 手術後 |
外傷性脊髄損傷による完全麻痺 | 3か月後 | |
人工関節・人工骨頭 | 手術後6か月 | |
重度の脳血管障害(1・2級相当) | 3か月後 | |
その他の肢体不自由 | 6か月後(手術施行の場合は術後6か月) | |
心臓機能障害 |
ペースメーカ 体内植え込み型除細動器(ICD) | 手術後 |
人工弁置換 | 手術後 | |
その他の心臓機能障害 | 3か月後(手術施行の場合は術後3か月) | |
腎臓機能障害 | 全般 | 3か月後 |
呼吸器機能障害 | 全般 | 3か月後 |
重度の脳血管障害が3ヶ月となっていますが、自治体によっては、ここも6カ月のところがあるかもしれません。
私が計測していたころは、脳血管障害は、皆さん6カ月が症状固定の目安とされました。
中には、4カ月で申請して、通った方もいらっしゃいますし、却下されたかたもいらっしゃいます。
計測してから、診断書ができるまで、どのくらい時間がかかるか、受付や担当理学療法士に確認されるといいかもしれません。
2週間くらいかかりますよ。と仮に言われた場合、発症から5カ月と2週間たった時が、ベストの計測時期になります。
すぐできますよ。と言われた場合は、発症から6カ月で大丈夫です。
手帳が早くほしいと発症から4カ月くらいで申請するのは、ギャンブルです。
行政側は、マニュアル通りにしか判断できません。いくら、主治医が症状固定と記載していても、この疾患は目安がこの時期なので・・・。と却下されるケースが多いです。
直接、電話でやりとりしたこともありますが、特例的な措置をとってくれたことはなかったです。
手帳に関しては、行政の示す目安の時期を守ることをお勧めします。
診断書様式
障害年金
障害年金と障害者手帳は違います
「障害者手帳が2級だから、障害年金も2級」、「重度障害だから障害年金は1級」というものではありません。
障害者手帳と障害年金は全く別の判定方法です。
障害年金とは、厚生年金保険、国民年金、共済年金すべての方を対象に支給される年金のひとつです
障害年金をもらうための要件(受給要件)
- 障害の原因となった傷病の初診日が、国民年金または厚生年金保険の被保険者期間中であること
- 障害年金を請求しようとする傷病にかかる初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間についての、保険料納付期間と免除期間を合算した期間が加入期間の3分の2以上あること。
滞納していると、障害年金はもらえません! - 20歳未満、もしくは60歳以上65歳未満の方が対象です。
申請時期
障害認定時は、初めて医師の診療を受けたときから、1年6カ月経過したときに障害の状態にあるか、とされています。
この1年6カ月という数字の根拠ですが、傷病手当と関係すると聞いたことがあります。
この傷病手当の支給期間が1年6カ月なのです。
脳血管障害の方は、再度、就労が可能になる割合が低いです。
元部下のように、再度、就労できれば良いですが、基本的には、そうでない方たちが、健康で文化的な最低限度の生活を営むため、社会保障が準備されています。
ですので、脳卒中になったら、まず、傷病手当の申請、傷病手当の支給期間が切れる発症から1年6カ月の時期に障害年金の申請という段取りが、病気をしてもある程度の収入が確保できる方法になります。
こちらも年金事務所は、マニュアル通りなので、症状が固定しているからといって、早めに申請しても通らないことが多いです。
障害等級
ちなみに障害等級は1級から3級まであります。
障害等級1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができない程度のもの。(他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度)
障害等級2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度)
障害等級3級
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。また、傷病が治癒していない場合は労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。
障害手当金
初診日に厚生年金保険、共済年金加入している方が対象で、 報酬比例の年金の2年分(最低保証 1,170,200円)
一時金 となります
この等級の判定も、人によっては、なぜこの人が1級? なぜこの人は2級?
と思うことも多かったです。
障害基礎年金の受給額の例
障害基礎年金では、配偶者の有無によって金額が変わることはありません。
支給額が変動することがあります。おおよその目安にされてください。
また、厚生年金保険に加入していた方は、 障害厚生年金が加入していた期間などによって年金額が加算されます 。
【 1級】 780,100円×1.25+子の 加算
【2級】 780,100円+子の加算
第1子・第2子 各 224,500円
第3子以降 各 74,800円
子供の定義 ・18歳到達年度の末日(3/31)を経過していない子
・20歳未満で障害等級1級または2級の障害者
下の表のような受給額になります。
障害等級/ 家族構成 | 子なし | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
---|---|---|---|---|
1級 | 975,125円 (月額 81,260円) | 1,199,625円 (月額 99,968円) | 1,424,125円 (月額 118,677円) | 1,498,925円 (月額 124,910円) |
2級 | 780,100円 (月額 65,008円) | 1,004,600円 (月額 83,716円) | 1,229,100円 (月額 102,425円) | 1,303,900円 (月額 108,658円) |
障害年金支援ネットワーク より引用
ブログ訪問してくださる方で、お悩みの方がいらっしゃったので、ご参考までに。
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