※装具卒業を奨励しているわけではありません。
担当PTが必要と判断されている場合、自己判断で装具を外すべきではありません。
装具や杖は、メガネのようなものです。
視力が悪くなれば、メガネをかけるように、足の機能がわるくなれば、装具や杖がひつようになるのは、必然です。
どうしても、装具から卒業したいという方は、いくつかクリアしなければならない課題があります。
伸展共同運動パターンからの脱出
今回、ご紹介するのは、伸展共同運動パターンからの脱出編です。
一般的に片麻痺の方の下肢は、伸展共同運動パターンに支配されます。
ある程度、分離運動がすすみ、腹這いでの膝関節屈曲ができたら、
次に行うのが 仰向けで、足関節を背屈位で保持したままの膝関節の屈伸です。
自主トレ方法( 足関節を背屈位で保持したままの膝関節の屈伸 )
特に、膝関節を伸展させる際、伸展共同運動パターンが出現し、足関節が底屈しようとしてしまいがちです。それに負けないよう、背屈位で保持できるよう頑張ってください。
病院で、お尻上げの指導を受ける方もいらっしゃると思います。
自主トレ方法(お尻上げ:ブリッジング)
このお尻上げも、足関節を背屈位で保持して行ってみてください。
この運動も共同運動パターンからの脱出に役立ちます。
お尻上げも色々工夫ができます。
足を肩幅より少しだけ広げ、膝を内側に絞って、かつ足首を背屈位に保持してお尻上げしてみてください。
中殿筋、長短腓骨筋に効きやすくなります。
このお尻上げができる方は、まず、装具はいりません。
なぜ、背屈を保持したままでの、股関節、膝関節の伸展ができるようにならないといけないのか。
前述の、反張膝や膝関節の不安定性に、足関節が果たさないといけない機能があるからです。
ロッカーファンクション : ヒールロッカー
それが、
ロッカーファンクション
歩行時の足部は、このロッキングチェアの足元のような動きをします。
装具を卒業するためには、このロッカーファンクションが機能しなければなりません。
ロッカーファンクションは3つあるのですが、その中の一つに着目します。
それが、「ヒールロッカー」です。
歩く際、麻痺側下肢を前方にスイングして、はじめに踵から地面につける必要があります。
この踵がついたとき、膝関節は伸展しています。つまり、伸展共同運動パターンが優位になるポジションになっているわけです。
ここで、足関節を背屈させる筋肉が、遠心性の収縮をつづけ、足関節軽度背屈位を保つことで、ヒールロッカーが機能します。
しかし、装具が卒業できない片麻痺の方の多くが、踵接地と同時に、足関節背屈位が解けてしまい、ヒールロッカーが機能せず、進行方向と反対側へブレーキをかけるベクトルが発生してしまい、反張膝を引き起こします。
そうならないために、股関節、膝関節を伸展しても、背屈位を保持できる必要がある訳です。
逆に言えば、これができれば、装具卒業が見えてきます。
短い距離は、大丈夫だけど、長い距離を歩くと反張膝が出る人もいます。
その場合は、持久力の問題のことが多いので、上記の自主トレの量をこなす必要があります。
かなり、難易度高めの自主トレーニングです。
頑張りすぎると、上肢の異常筋緊張が高まる可能性があります。
運動後の筋緊張の観察とケアを忘れないようにしてください。
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