※装具卒業を奨励しているわけではありません。
担当PTが必要と判断されている場合、自己判断で装具を外すべきではありません。
装具や杖は、メガネのようなものです。
視力が悪くなれば、メガネをかけるように、足の機能がわるくなれば、装具や杖がひつようになるのは、必然です。
どうしても、装具から卒業したいという方は、いくつかクリアしなければならない課題があります。
装具からの卒業を目指す場合
歩行時における麻痺側下肢の立脚期、つまり、麻痺側下肢が体重を支える時期に膝関節が安定してコントロールできる必要があります。
膝関節が安定してコントロールできる条件が揃わないと、膝折れや反張膝というものが出てきます。
反張膝とは
麻痺側下肢で体重を支える時期に、膝関節が過伸展してしまう現象。
反張膝の原因
大きく2つに分けられます。
①高緊張型
下腿三頭筋の高緊張による尖足が原因となって起こるもの
②低緊張側
下肢全体の低緊張が原因で、膝折れしないように力を入れると膝関節のロッキングが起こってしまうもの
反張膝を起こさない条件
①の高緊張型が原因である場合、下腿三頭筋を緩めることが絶対条件です。
②の低緊張型の場合。
ハムストリングスのトレーニングが必要です。
おすすめのトレーニングは、腹臥位での膝関節プレーシングです。
まず、腹這いで、寝た状態から膝関節が屈曲できることが絶対条件です。
更には、膝関節の位置覚、運動覚が改善していること、または保たれていること。
そして、ハムストリングスの遠心性収縮がコントロールできていること。
大腿四頭筋とハムストリングスの同時収縮が随意的にコントロールできていること。
以上が、反張膝を起こさない条件になります。
求心性収縮と遠心性収縮
求心性収縮
求心性収縮とは、筋肉が縮みながら収縮する収縮様式、遠心性収縮とは、筋肉が伸びながら収縮する収縮様式のことをいいます。
遠心性収縮
腹這いで膝関節を屈曲させた状態から、ゆっくり膝関節を伸ばす運動においては、その時のハムストリングスの収縮が遠心性収縮にあたります。
片麻痺の方のトレーニング
片麻痺の方の場合、求心性収縮の方が難易度は易しいです。
ですので、まず、腹臥位で膝関節を屈曲させることができることが第一条件です。
膝関節が屈曲出来たら、次は、膝関節90度屈曲位で保持ができることが目標になります。
それができたら、膝関節45度で保持ができることと膝関節屈曲位からできるだけゆっくり、膝関節を伸展させていくことができるようになることが目標になります。
以上のことが出来るようになるだけで、反張膝問題をクリアされる方もいらっしゃいますが、実際に膝関節荷重位での筋出力再学習が必要な方もいらっしゃいます。
その場合、平行棒でのトレーニングが必要です。膝関節軽度屈曲位での大腿四頭筋とハムストリングスの同時収縮を学習させていきます。
以上が、膝関節に着目した反張膝対策です。
ただ、上記の方法は、足関節の関与を考慮していません。
また次回以降、足部に関する記事をアップ予定です。
また、上記のトレーニングは、ふくらはぎの筋肉の緊張を高めます。
トレーニング後は、しっかりケアしてください。
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