リハビリテーション医学において,最も基本的で重要な二次障害は「廃用,過用,誤用」です。
二次障害ということは、防げる障害です。
廃用症候群は、ご存じの方が多いと思います。
我々、専門家では、常識ですが、過用症候群(overuse symdorome)と誤用症候群(misuse symdorome)というものがあります。
近年、SNSや動画配信チャンネルの普及で、リハビリに関する情報があふれています。
リハビリは適度に行うことが大切です。
「過度の安静は、目に見えぬ毒」です。
例えば、急性心筋梗塞後でも、発症4日目から運動が始まります(勿論、安全確認は行われます)。
しかし、繰り返しますが、適度な量がポイントです。
脳卒中片麻痺の場合、麻痺側下肢の回復が十分でないにも関わらず、健常歩行を目指して過荷重になったり、スクワットなどを頑張りすぎて、麻痺側上肢の異常筋緊張が酷くなったり、握力を鍛えようとして、指の伸展が困難になったり、というのが、過用症候群、誤用症候群の代表的な例です。
今では、一般的になってきたボトックス療法、20数年前は、ほとんど行われていませんでした。ボトックス適応者は、あまりいませんでした。
当時は、リハビリは受けたい放題だったので、発症から10年以上経つ方もたくさん、外来通院されていました。
なので、過用症候群、誤用症候群に陥る方は、まずいらっしゃいませんでした。
リハビリの算定日数上限が導入され、リハビリ難民になった方は、必死に自分で情報を探し、必死に頑張ります。
その結果、過用症候群や、誤用症候群に陥られている方をお見掛けします。
ボトックスを打っては、自主トレを頑張り、また筋緊張が高まり、ボトックスを繰り返す。
良くなりたいという気持ちは痛い程、理解できますが、果たして、その頑張り方は合っていますでしょうか?
運動とケアはセットです。
ケアだけでも良くなりませんし、運動だけでは回復の底が浅いうえ、過用、誤用の恐れがあります。
頑張って、頑張って、その結果、症状増悪を招くのは悲劇です。
運動は重要です。歩行も重要です。
しかし、関節は保護しなければなりませんし、頑張った筋肉にはケアが必要です。
どうか、皆様、適切なリハビリを行われてください。
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