片麻痺の方の肩は、なぜ、痛みが出るのか。
構造的な問題にしぼって、簡単に解説します。

一般に肩関節とは、肩甲上腕関節のことをいいます。
片麻痺の肩は、そこ以外にも問題があるわけです。
肩甲胸郭関節
まず、肩甲胸郭関節に問題があります。つまり、肩甲骨の動きが正常な動きから逸脱します。
少なからず、屈筋共同運動パターンをお持ちの方は、肩甲挙筋、大小菱形筋の筋緊張が高まります。


すると、何が起こるか。
肩甲骨のポジショニングと 上腕二頭筋長頭腱炎
肩甲骨が、通常よりも、脊椎よりにポジションをとることになります。
更には、ローテーターカフといわれる、上腕骨頭を関節に固定する筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)も機能低下を起こします。

更には、大胸筋の筋緊張が高まる方もいらっしゃいます。

すると、上腕骨は体の前方へ引き出される方向に力が加わります。
上腕二頭筋は長頭と短頭に分かれますが、長頭腱は結節間溝という細い溝の中を通ります。

肩甲骨のポジションと上腕骨のポジションが、本来よりも離れた状態で、肩を動かせば、長頭腱にストレスがかかることは、容易に想像できると思います。
この場合、上腕二頭筋長頭腱炎が起こります。結節間溝に圧痛があり、肩の後ろに関連痛が出やすくなります。
筋肉の筋緊張が高くても、低くても、本来の関節のポジションからずれていれば、神経を筋肉が締め付ける神経絞扼性疼痛の出現のリスクもあるし、筋の血流阻害などによる阻血痛が出る可能性もあるわけです。
それらを改善させるには、肩甲挙筋、大小菱形筋、僧帽筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、大円筋、小円筋、三角筋、大胸筋、上腕二頭筋・・・。の状態をチェックし、ケアをしないといけないわけです。
つまり、筋肉のコンディションを整えて、関節のアライメントをできるだけ正して、その状態で動かさないといけないわけです。
私達、専門家は、それらの筋の状態を確認し、肩甲骨の動きをチェックし、肩甲骨の動きを阻害している筋肉を重点的にストレッチして、肩甲上腕関節を保護しながら動かします。
ただ、世の中には、私達、専門家のリハビリが受けられない方も多いようです。
次回から、自分でできる肩甲帯周囲筋のストレッチをアップしていきます。
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