肩関節屈曲
私が、肩関節の関節可動域訓練を行う際、まず、肩甲骨の動きを確認します。
肩甲骨の動きを確認した後、肩甲上腕関節周囲の筋肉の触察を行い、緊張の高い筋肉は緩めます。それから、末梢の手関節周囲筋までチェック&ケアを行い、肩関節を屈曲させていきます。
キーワード「エンドフィール」
エンドフィールとは
エンドフィールとは,関節を他動的に動かした時に最終域で感じられる抵抗感である.エンドフィールは正常関節でも感じられるものと,痛みや関節可動域制限に関連した異常なものに分けられる.
この概念はイギリスの整形外科医Cyriax1)により軟部組織損傷の診断手技の1つとして紹介され,その後,徒手療法を行う理学療法士によりいくつかの分類がなされている 。
理学療法ジャーナル 42巻3号 より引用
要は、肩の屈曲の終末期において、どんな抵抗感を残すか。
骨と骨がぶつかって終わる感じなのか、筋肉がグーっと、これ以上伸びませんという抵抗感か。
骨と骨がぶつかって終わる感じであれば、関節のアライメントの調整等が必要になります。
そうでない場合、筋短縮(ショートニング)が原因かもしれません。
(関節包にも問題があるかもしれませんが)
筋短縮が原因の場合
仮に、筋短縮が原因であった場合、どこの筋肉が悪さをしているか。
経験上、多いのが、「小円筋」と「大円筋」
ともに、肩甲骨の外側と上腕骨をつなげている筋肉です。肩を屈曲させるには、肩甲骨と上腕骨が離れていく必要があります。肩甲骨と上腕骨が離れていくには、この小円筋と大円筋がしっかり伸びてくれなくてはいけません。
しかし、片麻痺になり、麻痺側上肢をフルに屈曲させる機会が減ると、この筋肉たちは柔軟性を失い、伸び切ってくれなくなります。
ここに問題がある方が多いです。
なので、利用者さんに、仰向けに寝ていただき、肩関節最大屈曲位で、ホールドして、小円筋、大円筋にストリッピングを行うと、可動域が改善されることが多いです。
ストリッピングとは?
筋肉の起始部から停止部にかけて、筋繊維の方向に沿って、圧をかけながら指を移動させるテクニックです。
個別の筋肉を狙い撃つため、筋肉の走行の知識が必要です。筋肉の緊張を深層部まで緩めることが可能といわれています。
もし、ご家族様がセラピスト代わりの方は、是非、お試しください。
セルフストレッチで行うには。
・椅子とテーブルをご用意ください。
・座った状態で、テーブルに腕を乗せます。
・できる限り、腕を体から離し、これ以上離れないというところで、ストップ。
・上腕骨から肩甲骨の外側につく、小円筋、大円筋をセルフストリッピング。
如何でしょうか?
この後、上肢を挙上してみて、可動域が広がったり、楽になったりされれば、小円筋、大円筋の柔軟性が不足しているということになります。
くれぐれも、痛みのない範囲でお願いします。
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